こんにちは、中央会計社の加藤です。
今回は人件費の考え方についてご紹介します。
「人手が足りない」
「なかなか良い人が来ない」
お客様からそんな声をよく聞きます。
まず、当たり前ですが、良い人に来てもらうには「ここで働きたい」と思ってもらえる会社であることが大切です。そして、その大前提になるのが、そこで働く人が納得感のある給与水準になっているかどうかです。
「給与を上げたいけど、会社の利益は大丈夫か」
「他の人とのバランスが…」
そんなときは、一度“数字で見てみる”のがおすすめです。
そこで今回は、給与水準の判断に使える2つの指標「労働分配率」と「1人あたり粗利」について紹介します。
INDEX
まず最初にチェックしたいのが「労働分配率」です。
これはざっくり言うと、「粗利(≒売上総利益)のうち、どれくらいを人件費にあてているか?」を表す指標です。
計算式はシンプルで、
労働分配率 = 人件費 ÷ 粗利 × 100
たとえば、粗利6,000万円で人件費3,000万円なら、労働分配率は50%です。
この場合は「稼いだうちの半分を人に使っている」ということになります。
業種などにもよりますが、目安として50〜60%くらいがバランスが良いと言われています。
人件費が抑えられているということなので、良い数字に思えるかもしれませんが、次のような可能性があります。
このようにブラック企業のような状態になってしまっている可能性があります。一方で、利益率の高いビジネスモデルの場合は、効率よく利益が出ている可能性もあります。
人件費が高いということなので、次のような可能性があります。
経営者から見ると、従業員は頑張ってくれているように見えていると思います。しかし、忙しけど儲からない状態になっていないか、見直しをした方が良いかもしれません。
もうひとつの指標が、「1人あたりの粗利」です。これは、社員1人がどれだけの粗利を生んでいるかを見るものです。
たとえば、粗利が6,000万円で正社員が5人なら、1人あたりの粗利は1,200万円になります。
ここで考えていきたいのが、「社員1人あたり、自分の給与の3倍の粗利を生んでいるか?」という目安です。
たとえば、年収が400万円の社員なら、粗利が1,200万円あればちょうど3倍。これくらいあれば、給与以外のコストを考えても会社として成り立ちます。
逆に、年収を500万円にしたいのであれば、「その人は年間1,500万円の粗利を生み出せそうか?」という視点で見てみると、判断しやすくなります。
「いくら」払えるかではなく、「いくら稼げるか」から逆算するということです。
「1人あたり粗利」の考え方を応用すると、採用の判断のときに、その給与に対する粗利を増やせそうか?という見方ができるようになります。
たとえば、年収が400万円の社員を採用する場合には、その人が入ることで粗利で1,200万円以上増やせそうか?ざっくりでもこういう計算をしてみると、「思ったよりいけそう」「いや、今はちょっと厳しいかも」といった判断材料になります。
給与の決め方には正解がないため、どうしても経営者の感覚になりがちです。だからこそ「なんとなく上げたいけど不安」「周りとのバランスが気になる」といった悩みが多くなります。
でも、今回ご紹介したように、
このように数字で整理していき、「いくら出せるか」がはっきりすれば、あとは「上げると決めるかどうか」です。
給与を上げることは、単なるコストの増加ではありません。いい人材を採用し、定着してもらい、会社をより良くしていくための投資です。
なぜ、良い人材は他社を選ぶのか?
それは、他社が「決めている」からかもしれません。
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