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インボイス制度の対応 ~振込手数料について~
令和5年10月1日よりインボイス制度が始まりました。
今回は、ほぼ全ての事業者が対象となります「振込手数料」についてのインボイスの対応をご紹介させて頂きます。
◎買い手が振込手数料を負担する場合
A社がB社へ11万円の商品を売った時、A社はB社へ11万円の請求書を発行します。
B社は請求書を確認し、振込手数料を含めた11万440円を振り込みました。
この時、B社が仕入税額控除を受けるには、A社の11万円の適格請求書と金融機関への振込手数料440円の適格請求書が必要となります。
振込手数料の適格請求書ですが、以下の2パターンがあります。
①金融機関やインターネットバンキングを利用した場合
適格請求書が発行されますので、こちらを保存していただきます。
②ATMを利用した場合
「3万円未満の自動販売機および自動サービス機により行われる商品の販売等」にATMが該当するため、適格請求書の交付義務が免除されます。その代わり、帳簿へ下記の「一定の事項」記載が必要となります。
・金融機関名称
・取引年月日
・取引内容
・取引金額
・特例の対象となる旨
・金融機関の所在地(○○銀行××支店ATMなど)
※但し、基準期間(2期前)の課税売上が1億円以下または特定期間(1期前の上半期)の課税売上が5千万円以下であれば、「少額特例」により、令和11年9月30日まで税込1万円未満の適格請求書の保存は不要となります。その際、一定の事項の記載は必要になります。
◎売り手が振込手数料を負担する場合
A社がB社へ11万円の商品を売った時、A社はB社へ11万円の請求書を発行します。
B社は請求書を確認し、振込手数料を差し引いた10万9,560円を振り込みました。
この際、3つのパターンがあります。
①売上値引きとして扱う場合
振込手数料分を売上の値引きとする場合、本来であれば買い手側が売り手側へ440円の値引きを受けたとして適格返還請求書(返還インボイス)を発行するのですが、令和5年の税制改正により、1万円以下であれば返還インボイスが不要となりました。
そのため、帳簿上の値引き処理と一定の事項の記載で完結します。
②支払手数料として扱う場合
振込手数料分を支払手数料として扱う場合、売り手側は買い手側が金融機関から受領した振込手数料の適格請求書を添付した立替金精算書の保存が必要となります。
※但し、基準期間(2期前)の課税売上が1億円以下または特定期間(1期前の上半期)の課税売上が5千万円以下であれば、「少額特例」により、令和11年9月30日まで税込1万円未満の適格請求書の保存は不要となります。その際、一定の事項の記載は必要になります。
③会計上支払手数料とし、消費税法上売上値引きとする場合
売り手側は帳簿では支払手数料としますが、消費税は売上の返還として処理します。
そのため、適格請求書は税制改正の摘要により不要となり、帳簿上は従来通りの処理と一定の事項の記載で完結します。
このように振込手数料一つで様々な処理が必要となります。
どのように処理するかは顧問先である会計事務所様とご相談いただき、今後のインボイスについて円滑に対応いただけますと幸いです。
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