インボイス制度の登録によるメリット・デメリット
インボイス制度の登録によるメリット・デメリット

成長する会社を応援する税理士事務所。

support!blog

経営に役立つ豆知識ブログ

インボイス制度の登録によるメリット・デメリット

2023 / 09 / 29

 

令和5年10月1日から消費税のインボイス制度が始まります。

今まで免税事業者だった方もインボイス制度が始まることによって課税事業者を選択した方もいらっしゃるかと思います。

今回はまだインボイス制度への登録を迷っている免税事業者の方向けに、ケースごとにインボイス制度へ登録した場合の

メリット・デメリットを簡潔にまとめさせて頂きました。

 

ケース①取引先からインボイス制度の登録を求められた場合

メリット

(1)取引先との良好な関係が維持できること

→取引先の要望に応えた形になりますので、良好な関係が維持できると思われます。

(2)インボイス発行事業者となるため、インボイスに登録していないことによる取引を敬遠されるリスクがないこと

→こちらは例を基に説明させて頂きます。

例:仕入先A社が税込み110万円の商品(消費税額10万円)を当社に売り上げ、当社がその商品を220万円(消費税額20万円)で

取引先C社に売り上げ、C社がその商品を330万円(消費税額30万円)でD社に売り上げた場合(前提条件)

❶当社がインボイス登録事業者の場合の取引先C社の消費税納税額

30万円-20万円=10万円となります。

❷当社がインボイス未登録事業者の場合の取引先C社の消費税納税額

30万円-20万円×80%=14万円となります。

よって、当社がインボイスに未登録ですと、取引先C社の消費税納付額が増えます。

このように仕入先及びサービス提供先がインボイスに登録をしていると、❶のように支払った消費税の全てを

消費税申告の計算上控除が出来ます。

しかし、インボイスに登録をしていないと、❷のように支払った消費税の80%(令和8年9月30日までは80%で、

令和11年9月30日までは50%)しか控除が出来ません。

したがって、インボイス未登録ですと、取引先から見ると支払った消費税の全ての控除が出来ないため、取引を敬遠される恐れがあります

が、インボイスに登録すると、こういった理由での取引の敬遠される可能性はなくなります。

 

デメリット

(1)消費税申告が必要になるため、消費税の納税額分の手取りが減る事

→インボイス制度に登録をすると消費税の申告が必要になり、消費税の納税をすることにより、

手取りが今までより少なくなってしまいます。

しかし、インボイス制度の2割特例制度の活用により消費税の納付額を少なくすることが出来ます。

メリット(2)に使用した例の当社を基に具体的に説明します。

❶当社が2割特例制度を使わないで消費税申告をした場合の消費税納税額

20万円-10万円=10万円

❷当社が2割特例制度を用いて消費税申告をした場合の消費税納税額

20万円-20万円×80%=4万円

このように2割特例制度(消費税納付額を売上に係る消費税額の20%とする制度で、

この制度は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間で適用できる制度になります。)

を用いると消費税の納税額を少なく抑えることが出来ます。

また、卸売業のみの事業者の方の場合は2割特例制度ではなく簡易課税制度を用いると、

消費税納付額を売上に係る消費税額の10%とすることに出来ますので、より消費税納付額を少なくすることが出来ます。

(2)消費税の申告に伴う申告報酬が発生する事

→税務申告を会計事務所に依頼している事業者の方の場合は会計事務所に対する消費税の申告報酬が発生する可能性があります。

 

ケース② 取引先から売上の金額を消費税の金額分値引きを求められた場合

メリット

(1)売上げの金額が消費税の金額分、値引きされる恐れがなくなること

→売上げの金額について、消費税額分の値引きを求められる場合としては、

ケース①のメリット(2)の所で説明した例のようにインボイスに登録していないため、

消費税申告の計算の際の控除に影響が出てくることが起因していますので、

インボイスに登録すれば、値引きの恐れはなくなります。

(2)インボイス発行事業者となるため、インボイスに登録していないことによる取引を敬遠されるリスクがないこと

→ケース①の(2)と同様のため、説明を省略します。

 

デメリット

(1)消費税申告が必要になるため、消費税の納税額分の手取りが減る事

(2)消費税の申告に伴う申告報酬が発生する事

→(1)、(2)共にケース①の(1)、(2)と同様のため、説明を省略します。

ですが、値引きを求められている金額、消費税の納税額及び消費税の申告報酬を基に比較して、

インボイスに登録するか否かを検討する必要があります。

 

ケース③ 取引先からインボイスに登録しなくても、今まで通り消費税部分の売上額を支払う事で

了承してもらえた場合

メリット

特になし

→取引先の了承があるので、インボイスに登録して消費税の納税をするメリットはありません。

 

デメリット

(1) 消費税申告の必要が出てくること

(2) 消費税の申告に伴う申告報酬が発生する事

→(1)、(2)共にケース①の(1)、(2)と同様のため、説明を省略します。

 

今回はインボイス制度に登録した場合のケースごとにメリット・デメリットをまとめさせて頂きました。

上記で挙げたケースは一部には過ぎませんが、インボイス制度に少しでも理解を深めて頂くきっかけになればと思います。