今年も残り1ヵ月となりました。もうそろそろ年末調整の準備に取り掛かる時期となります。
今年は税制改正により年末調整で注意が必要になりますので気を付けるべき3点をお伝えします。
注意①:退職手当を有する配偶者や扶養親族がいる場合
令和4年の税制改正により、令和5年提出の扶養控除申告書から「退職手当を有する配偶者・扶養親族」の欄が追加されました。
この変更の背景には、退職所得は所得税の計算の際には合計所得の中に含めないといけませんが、
住民税の計算の際には含めずに計算をしなければいけませんので控除漏れへの対応があります。
退職をした配偶者や扶養親族がいる場合は退職手当分がいくらなのかを確認し、申告書に適切に記載をしましょう。
追加された欄に記載する場合は、退職所得を除いた所得の合計額を記載しないといけませんので注意してください。
注意②:扶養控除等が適用される国外居住(非居住者)親族の範囲が一部変更
今まで16歳以上の非居住者はすべて扶養控除の対象でしたが、
令和5年からは「30歳から69歳までの非居住者」は除外されることになりました。
ただし、下記3つの条件を満たしていれば今まで通り控除を受けることが出来ます。
⑴留学により国内に住所及び居住をしなくなった者
⑵障害をもつ者
⑶扶養控除の適用を受けようとする居住者から、その年の生活費又は教育費に充てるために38万円以上の送金を受けている者
条件を満たしていても証明書や確認できる書類等の提出が必要になるものもありますので何か証明ができる資料を残しておきましょう。
70歳以上の非居住者は今までと変わりません。
注意③:住宅ローン控除の期間・控除率等が変更
税制改正により2022年から2025年までの期間に入居した場合の控除期間や控除率、借入限度額が一部変更となりました。
新築住宅や買取、再販住宅は10年から13年に控除期間が延長されます。
既存住宅は10年のままです。
借入限度額に関しましても住宅性能や居住開始年別に設定され、控除率も1%から0.7%に変更となります。
今回の住宅ローン控除の変更では、省エネ性能が高い住宅に対して借入限度額を上乗せするという優遇措置が取られています。
よって、2024年以降に新築の建築確認を受けた住宅は、
住宅ローン控除を受けるには省エネ基準に適していることが必須条件となりますので注意してください。
また、住宅ローン控除の内容が変更になったことにより所得金額の条件も変更となりました。
2022年以降は所得合計が2,000万円を超える場合、そもそも住宅ローン控除が受けられませんのでこちらもご注意ください。
以上、注意すべき3点をお伝えしました。今回の税制改正による年末調整の変更点は関係がある方とない方がはっきり分かります。
今年は年末調整に関する変更点が少ないですが、来年は変更点が非常に多いので今からしっかりと内容を追えるようにしましょう。
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