会社経営者様は自社の株式をお持ちかと思います。その株式はいずれ譲渡や相続をすることとなります。その時お持ちの株式はいくらになるのでしょう。上場している会社株式であれば株価はすぐにわかります。しかし上場していない会社=非上場株式の株価はどのように評価されるのでしょうか。
非上場株式の評価の方法は非常に複雑なものとなっています。その原因は、「原則」以外に数多くの「例外」があるからです。たとえば、株主の態様(同族株主か非同族株主か)、会社の態様(特定の評価会社か一般の評価会社か)によって評価方法が異なります。
経営者様とその身内だけが株主で、経営者様自身が株式の大部分を所有していて、なんらかの実業を営んでいる、そんな一般的な中小企業の経営者を想定した場合「原則的評価方法」で計算します。その評価について説明します。
①自社株式の評価は「会社の規模」によって変わります。
会社の規模の判断
・従業員数
・直前期末の総資産価格
・直前期末以前1年間における取引額
これらを基に以下の5つに分類します。
●大会社 ●中会社の大 ●中会社の中 ●中会社の小 ●小会社
②原則的評価方法には類似業種比準方式と純資産価格方式の2つの方式があります。
・類似業種比準方式
類似業種の上場会社の株価、配当、利益、簿価純資産額をベースに株価を評価する方法です。
・純資産価格方式
「会社を清算したらいくらになるか」という考えに基づき株価を評価する方法です。
③最後に以下の表の会社規模に応じた評価方法で最終的に評価額が決定します。
| 【会社の規模】 | 【評価方式】 |
| 大会社 | 類似業種比準価額 |
| 中会社の大 | 類似業種比準価額×90%+純資産価額×10% |
| 中会社の中 | 類似業種比準価額×75%+純資産価額×25% |
| 中会社の小 | 類似業種比準価額×60%+純資産価額×40% |
| 小会社 | 純資産価額 |
純資産価格と類似業種比準価格を比較すると純資産価格の方が類似業種比準価格より大幅に高くなってしまうことは中小企業ではよくあります。ということは、類似業種比準価格の割合を高めた方が評価額が下がる可能性があるということです。
自社株の評価は、利益や、純資産額や、支払う配当金の額が多くなれば、高くなっていきます。会社の内容がよくなっていくので評価額が上っていくのは、納得いくと思います。逆に利益が減ったり、ましてや赤字になったり、それに連動して純資産価額が減ったり、無配になれば、当然、株価は下がってきます。
しかし、赤字が続くと、逆に株価が高くなってしまうことがあります。それは、類似業種比準価額を計算する際の基準となる、1株あたりの配当金、利益、純資産額の3つの要素の内、2つがゼロ以下になってしまった場合に、「比準要素数1の会社」と判定されてしまうからです。比準要素数1の会社になってしまうと、純資産価額の割合が高くなるので、自社株評価が上ってしまいます。
では、1期でも比準要素数1になってしまったら、すぐそういう評価になるのかと言うと、そうではありません。しかし、ずっと赤字だから、株価は低いだろうと思っていたら実は比準要素数1の会社に該当して、株価が高くなっていたということもあるため注意が必要です。
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